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03 気高い(梅森文兎)

 梅森文兎(うめもりふみと)の日課は、

心酔している梅畑雅秋と会うために、

葦麻寺にある小さな喫茶店へ向かうことである。


今日もいつものように薄暗い店内の隅にあるテーブル席へ行くと、

先に来ていた雅秋が紅茶を嗜んでいるところだった。

「お待たせしてしまい、申し訳ございません」

「いや、構わんよ。それよりみのり様の様子はどうだ?」

 いきなり本題を尋ねられて、文兎は慌てて向かいの席に座る。

「はい。実は最近……」

 みのりお嬢様に見合いの話が

持ち上がっているらしいことを報告すると、

雅秋は無言でティーカップに口をつけた。

小さく息をつくと、こちらを見つめてくる。

「ご苦労だった」

「ありがとうございます」

 礼を言うが早いか雅秋が伝票片手に席を立った。

「もうお帰りですか?」

「ああ。お陰で次の手を打ちやすくなった」

 こちらを見つめて微笑する瞳の強さに、文兎は目を瞠る。

(やはり、お仕えするにふさわしいのは、彼だ)

 我儘な梅宮のガキの教育係に甘んじているのも、

いつか雅秋が世の中を変えてくれると信じているからだ。

「お気をつけて」

 深々とこうべを垂れたその耳に、

強い意志を代弁したかのような力強い足音が響き渡っていった。

                             fin.
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やどりぎ

Author:やどりぎ
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サークル『宿り木』の小説ブログです。
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朝川 椛(あさかわもみじ)
と高木 一(たかぎはじめ)の
2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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