04 剣 (梅宮美都子)

 梅宮美都子(うめみやみつこ)が、

ひと息つこうとお茶を飲んでいると、執務室に長男、

梅宮忠信(ただのぶ)が浮かない表情で入ってきた。

その顔つきで何があったのか。美都子にはすぐに察しがついた。

「また、みのりさんがお部屋を抜け出したのね」

「はい」

 八つ当たりするつもりはなかったが、

存外に厳しい声を出していたらしい。

忠信は肩を竦ませ、頭を下ろしたままでいる。

「で、ですが、お母様。
みのりは高学年とはいえまだ11歳。
部屋を抜け出し、外で遊びたい」

「忠信さん」

 頭を下げたままこちらに意見する忠信の言葉を、

彼の名前を呼ぶことで遮る。

「良いですか。梅宮は代々、黄金梅を御守する由緒正しき家柄。
お祖母様が全てをかけて取り戻された黄金梅の尊厳を守るため、
黄金梅を害するものから御守りする盾と、
撃ち取るための剣にならねばならないのです。
それを次期当主となる人間が、
己が使命を果たさずに遊びほうけるなど言語道断!」

「も、申し訳ありません。忠信が浅慮でした。
い、今すぐに、みのりを探してきます」

 美都子の一喝に腰がひけたのか、

忠信は這いつくばるように出て行った。

「あの子たちには困ったものね」

 忠信が出て行ったあと、一人呟き、

美都子は冷めてしまったお茶を一口飲んだ。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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