06 水晶 (狼谷満)

 長(おさ)見習いである狼谷満(かみやみつる)は、

その日も朝の日課でもある見回り兼、散歩をしていた。

 村を囲むように生えている木々を抜け、獣道を歩くこと数分。

村全体が一望できる丘へとたどり着いた。

生い茂る草についている朝露が日に当たり、

キラキラと水晶のように光っている。

だがそれは、満にとって見慣れた景色で、何の感動も与えない。

それよりも、この場所から見渡すことのできる村を見ることの方が、

何より胸を熱くさせた。

代わり映えしない景色のはずなのに、

ここから見える景色は毎日見ていても飽きない。

 満はズボンが濡れることを気にもせず、朝露を蹴散らしながら、

村を見下ろせる場所まで進む。

(何があっても俺が、この村を、獣人たちを守る)

 眼下に広がる村を見渡しながら、満は決意を新たにした。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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