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09 敗北 (梅森文兎)

「さて、今日のご機嫌はいかがなものかな?」

 梅森文兎は帝王学と古文書の資料を抱えて、

梅宮みのりの部屋へ向かう。


 みのりの教育係に任命してきたのは、

現当主で母親の美都子ではなく、父親の忠臣だった。

一体なぜ、と腑に落ちないながらも承諾したが、

謎は簡単に解けた。

つまりは、文兎が誰よりも忠誠を誓う、

梅畑雅秋からの進言があったためのようだ。

(雅秋様がおっしゃるのならばしかたがない)

 覚悟を決めて任務にあたるようになってから、早数ヶ月。

幸いみのりはどんな課題でも吸収率がいいし、

勉学自体が嫌いではないのか集中率もかなりのものだ。

だが、肝心のやる気を出させるのが難しい。

なにしろ、何が不満なのか、すぐに部屋を抜け出す癖がある。

「今日はいてくれるといいんだがな」

 ひとりごちて前方にあるみのりの部屋に視線を向けると、

渋面を作り辺りを見回す世話係の梅田碧(うめだあお)と目があった。

「また、ですか?」

「ええ」

 短く答える碧を前に文兎は眉をひそめる。

(今日の授業は持ち越しだな)

 資料の重量が増したような気分だ。

文兎は溜め息をつき、窓の向こうに広がる青い空を眺めた。

                              fin.
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Author:やどりぎ
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