12 死 (狼谷満)

 満が、わき目も振らず駆けつけたときには、

親友、大狼灰人(おおがみかいと)は、

すでに息を引き取ったあとだった。

「何があった……」

 木製のベッドの上で、

眠っているかのように横たわっている灰人に近づいた。

息をしていないのが不思議なくらい、

安らいだ顔をしている。

「犬井(いぬい)の家の子供を、
倒れてきた木から守ったそうです」

 満の問いを、灰人の父、灰矢(かいや)が答えてくれた。

「人間どもが山へ入ってきていたようで。
子供が見えなかったのか、子供の方へ伐採していた木を倒したらしく、
それをたまたま見かけた息子が子供を庇って……」

 言葉を詰まらせ、押し黙る灰矢の話に満は、手を強く握りしめた。

「また、人間のせいで……」

 怒りがふつふつと沸いてくる。

これまでも、人間が好き勝手してきたせいで、

たくさんの辛酸をなめてきた。だがもう、我慢の限界だ。

(灰人、俺がお前の代わりに人間どもから黄金梅を奪ってやる!)

 満は、青白くなった灰人の顔を見つめながら誓った。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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