16 逃走 (梅宮忠信)

「おーい、みのりー、どこだーい。怖くないから出ておいでー」

 忠信は妹を捜しに、家の裏山を歩いていた。

生い茂る草木のせいで日の光が遮られ、どことなく不気味に感じる。

山に入ればすぐに見つかると思っていた妹の姿も一向に見つからず、

忠信はだんだんと心細くなってきていた。

「はぁ、まいったなあ……もう帰っちゃおうかなあ、でもなあ」

 勉強の時間を脱け出し、遊びに行ってしまった妹を連れ戻してくる。

そう美都子に告げ、勇んで出てきてしまったのだ。

やっぱり見つかりませんでした、などと言おうものなら、

美都子からどんな小言が繰り出されるか。

想像するだけで、忠信は全身の血の気が引いた。

(やっぱり、もう少し探してみよう)

 ちゃんと探しても見つからなかったのなら、

いくら母親でも頭ごなしに叱ってくることはないだろう。

微かな希望を見いだした忠信は、足取りも軽く再び妹の捜索を始めた。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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