22 午睡 (梅宮美都子)
所用で1人外出していた美都子が執務室へ戻ってくると、
中のソファで午睡している忠臣の姿があった。
中のソファで午睡している忠臣の姿があった。
(珍しいこともあるのね)
起きているときより、
幾分若く見える夫の寝顔に美都子は微笑む。
起こさないように近づき、
眠りの妨げになりそうな前髪をそっとはらってやると、
髪で隠されていた部分があらわになった。
忠臣の顔に刻まれたシワの多さに、美都子は少しだけ目を瞠る。
(私の顔のシワもこんな風に見えるのかしら)
自分が立っている場所は、
常に気を張りつめていなければならない。
それは隣に立つ彼も同じだろう。
いつも飄々としていて、
ときおり手のひらで転がされているのではないかと
錯覚しそうになるが。
それでも彼が夫で良かった。
年を重ねるごとにそう思うようになっていく。
(ありがとう、忠臣さん)
もう少しだけ、つかの間の休息をしてもらおう。
美都子は、足音をたてないよう、
机に置いてある自分の膝掛け取りにいく。
そしてそれを忠臣にかけてやり、執務室をあとにした。
(了)
起きているときより、
幾分若く見える夫の寝顔に美都子は微笑む。
起こさないように近づき、
眠りの妨げになりそうな前髪をそっとはらってやると、
髪で隠されていた部分があらわになった。
忠臣の顔に刻まれたシワの多さに、美都子は少しだけ目を瞠る。
(私の顔のシワもこんな風に見えるのかしら)
自分が立っている場所は、
常に気を張りつめていなければならない。
それは隣に立つ彼も同じだろう。
いつも飄々としていて、
ときおり手のひらで転がされているのではないかと
錯覚しそうになるが。
それでも彼が夫で良かった。
年を重ねるごとにそう思うようになっていく。
(ありがとう、忠臣さん)
もう少しだけ、つかの間の休息をしてもらおう。
美都子は、足音をたてないよう、
机に置いてある自分の膝掛け取りにいく。
そしてそれを忠臣にかけてやり、執務室をあとにした。
(了)
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