24 軌跡 (狼谷満)

 澄み切った青空の下、満は亡き親友の墓前に立っていた。

「よぉ、灰人。久しぶり……でもないか」

 灰人が亡くなってから数年経ち、自分は獣人たちの長となった。

「灰人、俺がやろうとしていることは間違っているのかな?」

 長になりさえすれば、

すぐに人間たちから黄金梅を奪還できると思っていた。

しかし、長老たちを含む半数にも及ぶ獣人が

現状に満足していると言う。

何より、何代にも渡って謳ってきた、『人間たちとの共存』を

自分の代で壊してもよいものなのか。

不安になるたび、満はこの場所へ来て灰人に語りかけ、

そして思い出すのだ。

灰人が死んだ日に決意したことを。

「そうだよな。今、俺が立ち上がらないとダメだよな。
ありがとう、灰人」

 じゃぁな、と満は灰人が眠っている墓に手を挙げ、

長としての仕事が待っている家へと歩きだした。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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