25 闇 (雅秋)

 蔵の中に入るのは久しぶりだ。

雅秋は埃の被った古い御膳や本の山を、しみじみと眺めた。

数ヶ月ぶりの休日に、

娘の由真が蔵を見たいと言い出したのだが。

今は昼間だし懐中電灯を持っているとはいえ、

幼い子供には危ない物もあると判断し、許可を出さなかった。

「代わりにお父様が昔のゲームを取ってきてあげよう」

 泣いて愚図る由真に困って告げると、

娘は赤い目をしたままこちらを見て首をかしげてきた。

「ほんとう?」

「ああ」

「わーい!」

 とたんに上機嫌になった由真の手前、

約束を守らないわけにはいかないだろう。

「さて、どこから探すかな」

 もしかしたら一日仕事になるかもしれない。

それもたまには悪くないか、と雅秋は腕まくりをして、

双六の捜索にとりかかるのだった。

                
                        fin.
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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