28 杖 (梅宮忠信)

 妹を連れて帰ることができなかった忠信を待っていたのは、

般若のような顔をした美都子だった。

「忠信さん、そこへお座りなさい」

 こめかみに青筋を立てて怒っている美都子に促され、

忠信は涙目になりながらソファに腰かけた。

美都子と目を合わせたら、自分の息の根は確実に止まるに違いない。

忠信は、顔を下に向け、膝の上で震えている手を必死で隠していた。

「いいですか、あなたは将来、
当主となるみのりさんを支える杖でなければならないのですよ」

 ダンッと、美都子がテーブルを叩いた音に驚き、

忠信は反射的に顔をあげてしまう。

眉をつり上げこちらを見ている母と目が合い、

忠信は息を、ひゅっと飲んだ。

「それなのに、見つからないからと言って
すごすごと帰ってくるなど、どういう了見なのですか!」

(太郎様、雪姫様、黄金梅様、
誰でもいいので誰か助けてください)

 忠信は、言葉を挟み込む隙を与えず

延々と話し続ける美都子の声を聞きながら、

そう願わずにはいられなかった。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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