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36 白百合 (狼谷満)

 その日、満は狼の姿になって横梅学園を偵察していた。

人型よりは、大型犬と大差ない獣の姿の方が良いだろう。

そう思って、変化をしてきたまでは良かったのだが。

(人間の子供は恐れを知らないのか)

 威嚇する間もないまま、無邪気な顔した子供たちによって、

もみくちゃにされてしまった。

(多勢に無勢とは、ああいうことを言うんだな、きっと……)

 なんとか逃げだすことに成功し、

満がひと気のない場所で一休みしているときだった。

風に乗って、柔らかで甘い白百合のような匂いが、

鼻をくすぐる。

匂いに誘われ、匂いの元を探しに行くと人間の女性が立っていた。

(あの女の匂いなのか?)

 教師なのだろうか。黒っぽいスーツを着た女性は、

短い髪を揺らしながら楽しそうに校庭にいる生徒たちを眺めていた。

(いや、人間があんないい匂いをさせるはずがない。
さっき人間になでられたから、調子悪くなったんだ。
絶対そうに決まってる)

 今日はもう、帰ろう。

満は、近づいて行こうとする足を必死で出口へと向け、

学園をあとにした。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
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サークル『宿り木』の小説ブログです。
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朝川 椛(あさかわもみじ)
と高木 一(たかぎはじめ)の
2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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