38 音 (野臥間里夫)

 カリカリという音が聞こえてきたのは、

里夫が布団に入ったときだった。

昼間ならば、他の音に紛れて聞こえなかったかもしれない小さな音。

(寝静まった今じゃバレバレだぜ、じぃちゃん)

 獣人という人型で生活している種族だとしても、本質は獣だ。

だからだろうか、ときおりその頃の習性が出てしまう。

何も問題がなければ里夫も、

聞かなかったことにして眠りにつけたのに。

(しかたないなぁ)

 ため息を吐き、音の発生源である祖父の元へ向かった。

「じぃちゃん! 
木の実は朝1回だけだって、先生に言われただろう!」

 勢いよくふすまを開けると、

こぼれ落ちんばかりに両目を見開いている邦夫と目が合った。

こちらの登場に驚き、落としたのだろう。

木の実が転がってくる。

「朝、母ちゃんに言うからな。それと、これは没収」

「まて、里夫! これには色々と訳が」

 叫んでいる祖父の声を無視して里夫は、

足元で止まった木の実を拾い邦夫の部屋をあとにした。

(了)
スポンサーサイト
プロフィール

やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR