40 風 (梅宮美都子)

 いつものように執務室で仕事をしている美都子の耳に、

ときおり激しく窓を揺らす音が聞こえてくる。

そのたびに、黄金梅は大丈夫なのかと、ペンを持つ手が止まった。

(困ったわ、気になって仕事がはかどらない)

 黄金梅の様子を見に行こうと席を立ち、

ドアノブに手を触れると、扉が開いた。

いつもキチンとセットされている髪を乱した忠臣が、

中へ入ってきたのだ。

「おや美都子さん、お出かけですか? 
それでしたら車のご用意を」

 優しい微笑みを浮かべる夫の言葉を、美都子は断った。

彼の姿を見れば一目瞭然だったからだ。

きっと自分が心配すると予測して、

黄金梅の様子を見てきてくれたのだろう。

(自分の髪型がどうなっているのか気づいていないのかしら?)

 何事に置いてもそつなくこなしてしまう彼にしては珍しい。

だが、そんな夫の姿を微笑ましく思う。

美都子は、感謝の気持ちを込めて

忠臣にお茶を入れてあげることにした。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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