42 黒い鳥 (狼谷満)
黒くて大きな羽を羽ばたかせながら、
1羽のカラスが満の肩に着地した。
1羽のカラスが満の肩に着地した。
2才年下の鴉生(あそう)は、自分が長になってから
情報収集を買ってでてくれた強い味方だ。
「鴉生、今日はどうだった?」
最初の頃は、
梅宮に関する人間たちの動向を探ることのみ鴉生の力を使っていた。
しかし、最近になってそれが少しだけ変わり始めている。
「今日のお嬢さんは、
電柱に当たったのに人間だと勘違いしていたようで、
ペコペコと謝っておりましたなぁ。
あぁ、あと何もないところで躓いておりましたなぁ」
鴉生の嘴からでてくる言葉を想像しながら聞いていると、
自然と頬が緩む。
「それにしても、長(おさ)の女の趣味は変わってますなぁ」
満は、鴉生がため息まじりに呟いた言葉に反論する。
「どこがだよ、どんくさくて可愛いじゃねーか」
鴉生が、可哀想な子を見るかのような眼差しを向けてきた。
「長、それ、ほめ言葉じゃありませんで」
「へっ? そうなのか?」
見開いた目を鴉生に向けると、すでに彼の姿はなく。
何事もなかったかのように、他のカラスにまじって上空を飛でいた。
(了)
情報収集を買ってでてくれた強い味方だ。
「鴉生、今日はどうだった?」
最初の頃は、
梅宮に関する人間たちの動向を探ることのみ鴉生の力を使っていた。
しかし、最近になってそれが少しだけ変わり始めている。
「今日のお嬢さんは、
電柱に当たったのに人間だと勘違いしていたようで、
ペコペコと謝っておりましたなぁ。
あぁ、あと何もないところで躓いておりましたなぁ」
鴉生の嘴からでてくる言葉を想像しながら聞いていると、
自然と頬が緩む。
「それにしても、長(おさ)の女の趣味は変わってますなぁ」
満は、鴉生がため息まじりに呟いた言葉に反論する。
「どこがだよ、どんくさくて可愛いじゃねーか」
鴉生が、可哀想な子を見るかのような眼差しを向けてきた。
「長、それ、ほめ言葉じゃありませんで」
「へっ? そうなのか?」
見開いた目を鴉生に向けると、すでに彼の姿はなく。
何事もなかったかのように、他のカラスにまじって上空を飛でいた。
(了)
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