44 歌声 (鶯木麗)

 ウグイスのさえずりは春を告げる歌声。

そんな言葉を聞いたのはどのくらい前だっただろうか。

(でもあれって、オスが鳴くのよね)

 人型に慣れず、ウグイスのままでいた幼い頃は、

『ホーホケキョ』とさえずるオスを見て

うらやましく思っていたものだ。

しかし、ほとんどを人型で過ごしている今は

そんなことを思わない。

むしろ、あの頃うらやんだオスたちを、

今はこの歌声で魅了している。

「麗ちゃん、次、麗ちゃんの番だよ!」

 隣に座っているタマからマイクを渡される。

麗は、それを軽く握りしめ、立ち上がった。

「待ってましたぁ!」

「いよっ! 麗ちゃん、黄梅一(おうめいち)!」

 盛り上げてくれている面々に笑顔を振りまきながら、

麗は十八番の演歌『春知らせ鳥』を歌い始めた。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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