52 尊い (梅宮忠臣)

 娘が産まれたとき、

周囲が「初代様の生まれ変わりだ」と大いに盛り上がった。

初代の雪姫様と同じように、

水色の髪と瞳を持って産まれたからだろう。

誰も彼もが、みのりを崇める中、

自分は娘よりも、彼女を誕生させた妻の方に尊さを感じた。

おいそれと自分ごときが彼女に触れてよいものか、

ときおり悩むときがある。

「忠臣さん? 私の顔に何かついていますか?」

 真剣な眼差しで仕事に没頭していた彼女を見つめていると、

ふいに顔を上げた妻と目があった。

頬に手を当てて確認する姿が、愛らしくて顔がほころぶ。

「いえ、美都子さんはいつ見ても
 すごい方だなと思っていただけです」

「それは貴方が支えてくれているからだわ」

 適当な理由でごまかした自分に対して、

当たり前のように返す彼女の言葉に忠臣は胸を熱くさせた。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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