53 畏怖 (悟)

 腹違いの姉はいつも遠い存在だった。

直接会ったことのない異母姉(あね)は、

自分が幼いころからもう梅宮家の当主であり、

梅八家を担う尊い存在だったからである。

だから初めて美都子に会いその瞳に見つめられたとき、

悟は身体中に電流が走ったような衝撃を受けた。

(動いちゃだめだ!)

 とっさにそう思い身をかためていると、上座から声が降ってきた。

「お母様の言うことをよく聞くのですよ」

 悟は震える声でなんとか、はい、と答えたが、

美都子はそれ以上自分には目をかけてはくれなかった。

 冷たく、高く、聳え立つ山が、ここにある。

悟は身体中に走り抜ける戦慄を抑えながら、

これまで無邪気に生きてきた自分を心底呪うのだった。

                             fin.



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ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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