67 漆黒 (雅仲)

 深夜、雅仲が眠れずに庭先へ出ると、先客がいた。

「どうした、涼介」

 ひたすら夜空を眺めている弟へ尋ねるが、返答はなく。

代わりにゆっくりと視線をこちらへと向けてきた。

「眠れないのか?」

 再度問いかけると、ぎこちなく頷いてくる。

「見えないんだ、なんにも」

 かすれ声で告げてくる涼介にならい、空を仰ぐ。

月も星も見えない天空を眺めていると、弟が口を開いた。

「まるであの人の心みたいだろう?」

 消え入るような声で呟く弟を前に、雅仲は小さく息をつく。

「雅秋兄さんは、俺になにをして欲しいのかな……」

 その問いに答える権利は、自分にはない。

雅仲は落ちこんだ声音で語る涼介の肩に手を置き、

その場を後にした。

                             fin.
                             
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
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ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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