70 鳥籠 (梅宮忠臣)

 忠臣は屋上にあるヘリポートから空を見上げた。

当主を乗せたヘリを捜すが、まだ早かったようだ。

澄んだ青い色に目がくらみそうになり、下を向く。

忠臣の目に、山々に囲まれた市街地が写った。

(まるで大きな鳥かごのようだな)

 自分の妻を見ていると、

この市は大きな鳥かごのようなものではないかと思うことがある。

黄金梅できた籠の中に、さまざまな人がひしめき合い、

彼らを籠の中から出さないように、庇護することが自分たちの役目だと

思っていた。だが、最近は、自分も鳥かごの中にいて、

止まり木の上から見下ろしているだけなのではないだろうか。

そう考えてしまうときがある。

(まぁ、それでも美都子さんがそれで良いなら良いのですがね)

 黄金梅に囚われていようが、操っていようが自分にとっては

どちらでもいい。妻が望むことをかなえてやることが重要なのだ。

忠臣は、必死に当主の責務を果たそうとしている愚かで愛しい妻を

思い浮かべ頬を緩ませた。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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