79 剣技 (雅仲)

 お手伝いに部活動で汚れた道着の洗濯を頼んでいた雅仲は、

背後から気配を察知した。

慌てずに持っていた竹刀で受けとめると、ぽこんと軽い音がする。

振り向いて確認すると、今年小学5年生になったばかりの弟が

丸めた新聞紙を両手に微笑んでいた。

「やっぱり雅仲兄さんも強いね」

「……お前、兄さんにも同じことやったのか?」

 眉根を寄せて尋ねると、涼介が残念そうにかぶりを振ってきた。

「やろうとしたけど、その前に気づかれちゃいました」

「そうか。よかったな」

「はい?」

 首をかしげる涼介の頭を軽く小突き、雅仲は廊下を歩く。

なにごともなくて何よりだ。

兄は有段者だから滅多なことはないだろうが、

それでも手酷い仕打ちを受ける可能性は否定できない。

「厄介な人だよなあ」

 部屋へ戻る通路を歩きながら、雅仲は重い溜め息をついた。

   
                            fin.
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ジャンル : 小説・文学

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メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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