80 十字架 (鶯木麗)

 いつものように麗がタマの家へお邪魔すると、

ちゃぶ台の上に5cm四方に切られている厚紙が置いてあった。

パッチワークでもするのだろうか。

不思議に思い手にとってみると、

四角の中に『十』の字を見つけた。

(型紙にこんなマークなんてあったかしら?)

 首を傾げていると、タマがお茶を持って部屋に入ってきた。

「あ~、それ? 孫の算数をみるための道具を作ってるのよ」

 マークではなく『プラス』だったらしい。

「計算苦手なの?」

「そうなの困ったものだわ。きっと私に似たのよね」

 しかし、タマの表情は言葉とは裏腹にどこか楽しそうだ。

(孫を構えて嬉しいくせに、素直じゃないわね)

 麗は、厚紙を切っている友人を微笑ましく思った。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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