82 森 (梅宮美都子)

 美都子は、

ためらいもなく黄金梅の咲く森へ入っていく娘の姿を

部屋の中から眺めていた。

幼い頃からあの場所へ入るのが苦手な自分には、

家から逃げ出すように森の中へ遊びに行く

彼女の気持ちが正直わからない。

(あの子は森に好かれているのかもしれないわね)

 だからこそ、あの髪色で産まれてきたのかもしれない。

自分が得ることのできなかった、水色の髪に。

 なぜ自分ではなかったのか、と

吐きだしてしまいたくなる心の闇を押さえるように、

ぎゅっとこぶしを握り締めた。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、こちらはオリジナル小説サークル『宿り木』の小説ブログです。
メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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