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86 献花 (狼谷朔太郎)

 朔太郎は白と黄色の菊の花を片手に、

小高い丘の頂上を目指して歩いていた。

「なんだ、来てたのか」

 登りきった先にある義理の息子が眠っている墓石の前で、

朔夜が佇んでいた。呟くように漏らした声が聞こえたようだ。

娘が目を丸くしてこちらを振り返った。

「父さんこそ」
「まぁ、なんだ命日だしな」

 なんとなく照れくさくなり、鼻の頭をかく。

「そう。じゃあ、私は先に行くわね」
「もう行くのか?」

 せっかくの二人の時間を邪魔してしまったようで、

申し訳なくなる。

しかし、朔夜は気にしていないのかこちらに笑みを向けてきた。

「えぇ、あの人と話したいことがあるんでしょう。
 私はもう終わったから」

 朔夜は、墓石に向かって「また来るわね」と呟くと

そのまま丘を下り始める。

朔太郎は、そんな娘の後ろ姿をしばらくの間見つめ続けた。

(了)
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やどりぎ

Author:やどりぎ
ようこそ、
こちらはオリジナル小説
サークル『宿り木』の小説ブログです。
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朝川 椛(あさかわもみじ)
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2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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