93 嘲笑 (文兎)

 高校2年の秋のこと。

渡り廊下で雅秋を待っていた時、

先に3年の教室を出てきたらしい碧と目が合った。

彼はこちらの姿を認めると、

軽く口許を歪め、無言のまま去っていった。

どういう意図であんな表情をしたのかは定かではないが、

文兎にはそれが屈辱的なものに思えた。

『くだらない』

 そうあざけられてたようで、

ひどく気分が悪かったのだ。

あれ以来、碧との会話にはやたら神経を遣うようになってしまった。

今日もこれから、

みのりお嬢様の学習スケジュールを取り決めなければならない。

(できれば会いたくないんだがな……)

 文兎は冷めてしまったコーヒーを飲み干すと、

深い溜め息をつき重い腰をあげるのだった。

  
                               fin.
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メンバーの朝川 椛(あさかわもみじ)と高木 一(たかぎはじめ)の2人で100のお題をお借りし、
オリジナル小説を書いています。

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