3.傘<平岩文人(ひらいわふみと)>
written by 朝川 椛
由江と同棲を始めてから、文人は雨の日が待ち遠しい。
愛しい彼女を傘で迎えに行けるからだ。
自分には思いきり絵を描いて欲しいと言った彼女は、朝からドラッグストアのアルバイトに出かけている。
由江と同棲を始めてから、文人は雨の日が待ち遠しい。
愛しい彼女を傘で迎えに行けるからだ。
自分には思いきり絵を描いて欲しいと言った彼女は、朝からドラッグストアのアルバイトに出かけている。
せっかく一緒に暮らし始めたというのに、会っている時間はとんでもなく少ない。
彼女が夕方から9時まで書店でのアルバイトにも勤しんでいるからだ。
別にそれが悪いということではない。
しかし、一緒にいる時間が日に5時間なんて、少ないにも程がある。
そんなことだから、もしかして、と考えてしまう。
もしかして、俺より良い奴ができたんじゃないか、ってなことを。
そんなはずはない。
彼女は自分を愛してくれている。
(なのに何故俺は!)
だから、雨を言い訳にして、今日も文人は横断歩道まで迎えに行く。
彼女が自分を見つけた時の綻んだ笑顔を見るそのために……。
END
彼女が夕方から9時まで書店でのアルバイトにも勤しんでいるからだ。
別にそれが悪いということではない。
しかし、一緒にいる時間が日に5時間なんて、少ないにも程がある。
そんなことだから、もしかして、と考えてしまう。
もしかして、俺より良い奴ができたんじゃないか、ってなことを。
そんなはずはない。
彼女は自分を愛してくれている。
(なのに何故俺は!)
だから、雨を言い訳にして、今日も文人は横断歩道まで迎えに行く。
彼女が自分を見つけた時の綻んだ笑顔を見るそのために……。
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