6.かすみ草<須永瑠奈(すながるな)>
written by 朝川 椛
昔からかすみ草を見ると、母、由江のようだと瑠奈は思う。
楚々としてる添え花。誰かの影になるために生まれてきたような人だ。
そんなことを友人に話したら、でもさ、と友人は少し考え口を開いた。
昔からかすみ草を見ると、母、由江のようだと瑠奈は思う。
楚々としてる添え花。誰かの影になるために生まれてきたような人だ。
そんなことを友人に話したら、でもさ、と友人は少し考え口を開いた。
「かすみ草ってそれだけだと味気ないって良く言われるけどさ。私はそうじゃないと思うな」
瑠奈は友人の意図を図りかね、首を傾げる。
すると、友人は弁当箱を置いて身を乗り出してきた。
「あれって、たくさんあるとうざったくならない? だからああ見えてすっごく自分を主張する花だと思うわけ」
「あー、そういえば……」
そうかもしれない。
紡ぎかけた言葉を、瑠奈は呑み込んだ。
そして改めて母を想う。
「『自分を主張する』かあ……」
本当にそうなら少し嬉しい。
影のある微笑みばかり浮かべる母へ思いを馳せながら、瑠奈は水筒から注いだ紅茶を口に含んだ。
了
瑠奈は友人の意図を図りかね、首を傾げる。
すると、友人は弁当箱を置いて身を乗り出してきた。
「あれって、たくさんあるとうざったくならない? だからああ見えてすっごく自分を主張する花だと思うわけ」
「あー、そういえば……」
そうかもしれない。
紡ぎかけた言葉を、瑠奈は呑み込んだ。
そして改めて母を想う。
「『自分を主張する』かあ……」
本当にそうなら少し嬉しい。
影のある微笑みばかり浮かべる母へ思いを馳せながら、瑠奈は水筒から注いだ紅茶を口に含んだ。
了
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