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11 血 (想田麻紘)

written by 高木一

 麻紘が井戸で水を汲んでいると、縁側で昼寝をしている父の姿が目に入った。

「私の髪質は父様譲りなのかしら?」

 荊芥の寝ぐせのついたままボサボサした髪を見て、麻紘は二つに分けた三つ編みの片方を手に取る。顔はまったく似ていない。瞳の色は一緒だが、奥二重で丸い父の目に対して自分は切れ長の瞳をしている。自分自身は覚えていないが、瞳は亡くなった母に似ているのだろうか。

「ばぁやはどう思う?」

 こちらを窺っていたふみに訊いてみると、彼女はふくふくした頬にえくぼを作った。

「そうですね。お嬢様は奥様に大変よく似ておいでですよ」
「やっぱりそうなのね」
「ですが、旦那様にも似ておいでですよ」
「どこ? 髪質?」
「いいえ。ご興味があることに対してとことん突き進むところなどそっくりでございます。やはり血は争えませんね」

 見た目ではなく内面のことだったらしい。だがたしかにふみの言う通りかもしれない。普段は他の人とは違う時間軸で生きていそうな父だが、絵を描くときのこだわりは自分が漢方薬を作るときとよく似ている気がする。

「言われてみればそうかも。集中している時の父様に話しかけても全然気づかないもんね。私も漢方薬を作ってるときは周りの音とか聞こえないし」

 麻紘は大好きな父との共通点を見つけ嬉しくなった。ふみがコロコロと笑いながら水の入った桶を持って台所へ入って行く。そのあとを麻紘も続いた。

〈了〉

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