14.盛夏<綾木和彦(あやぎかずひこ)>
written by 朝川 椛
8月のある日、叔父である涼の部屋で漫画を読んでいた和彦に、叔父が提案してきた。
8月のある日、叔父である涼の部屋で漫画を読んでいた和彦に、叔父が提案してきた。
「蝉でも取りに行こうか」
「えー、蝉?」
「あれ? じゃあ何だったらいいんだよ」
「やっぱカブト虫じゃね?」
「カブト虫かあ」
それだと夜の方がいいんだよなあ、と叔父が呟く。
和彦はその言葉に喰いついた。
「マジ? なんで?!」
「カブト虫は夜樹液を求めてやって来るんだよ。だから」
夜と聞いて和彦のテンションは爆上げになった。
「え! じゃあ、今日泊まって行ってもいい?!」
「ダメ」
一語のもとに却下され、和彦はむくれる。
「なんだよー、けち!」
だが、叔父は愉快げに笑うだけだ。
「だからほら、外に蝉取りに行こうよ」
「わかったよー」
ご機嫌取りしてくる叔父の行為そのものが嬉しくて、和彦は即怒ったふりをするのをやめた。
叔父が父親だったらな、なんてことを本気で考えつつ、和彦は叔父とともに虫取り網を持って
外へでかけるのだった。
了
「えー、蝉?」
「あれ? じゃあ何だったらいいんだよ」
「やっぱカブト虫じゃね?」
「カブト虫かあ」
それだと夜の方がいいんだよなあ、と叔父が呟く。
和彦はその言葉に喰いついた。
「マジ? なんで?!」
「カブト虫は夜樹液を求めてやって来るんだよ。だから」
夜と聞いて和彦のテンションは爆上げになった。
「え! じゃあ、今日泊まって行ってもいい?!」
「ダメ」
一語のもとに却下され、和彦はむくれる。
「なんだよー、けち!」
だが、叔父は愉快げに笑うだけだ。
「だからほら、外に蝉取りに行こうよ」
「わかったよー」
ご機嫌取りしてくる叔父の行為そのものが嬉しくて、和彦は即怒ったふりをするのをやめた。
叔父が父親だったらな、なんてことを本気で考えつつ、和彦は叔父とともに虫取り網を持って
外へでかけるのだった。
了
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