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17 バンソウコウ (小山八十八)

written by 高木一

 小山は商品の入ったバックを机に置き、ドカリと椅子に座る。

「はぁー。痛っ」

 数時間ぶりに事務所へ帰ってこられた安堵からか、かかとの痛みを思い出した。足を動かすだけでもジクジクとした痛みが続く。小山はなんとか靴を脱いだ。

「うわぁ……」

 黒地の靴下のおかげで目立たないが出血もしていたらしい。予想以上にひどい靴擦れにげんなりしていると、向い側の席から先輩、村上が顔を覗かせる。

「ほら、絆創膏だ」
「すみません。ありがとうございます」

 小山は村上から絆創膏をもらい患部に貼りつけた。これでまた明日から歩くことができる。小山が密かに胸をなで下ろしていると、隣の席に座る先輩、松井がしみじみと語り始める。

「絆創膏ができてくれて本当よかったよね。私も鞄の中に常備してるよ」

 村上が俺も俺も、と相槌を打つ。小山の先輩たちの会話に加わる。

「絆創膏ができる前の松脂硬膏は、よく剥がれてしまいましたもんね」
「そうそう。運よく貼りついたくれたときは剥がす時がすごく痛くてさ」
「それが今じゃ、剥がすときも綺麗に剥がせるんだから、開発してくれた人に感謝だよね」

 本当だよ、と盛り上がる先輩たちの話を聞きながら小山は宣言する。

「僕も先輩方を見習って絆創膏を常備したいと思います」

 営業マンとしてはまだまだひよっこの自分だ。これから先輩方の背中に追いつくよう頑張ろう。小山は決意を新たに、今日契約をしてき顧客の書類を書き始めた。

〈了〉

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