17.バンソウコウ<須永瑠奈(すながるな)>
written by 朝川 椛
須永瑠奈は自分ではそうは思わないが、周囲からお転婆だと言われている。
確かに木に登ることや外で遊ぶことは大好きだ。
それで怪我をしてしまうことも確かに良くある。
今日も男子と女子入り交じって缶蹴りをした際、缶を蹴り損ねて膝を大いに擦りむいてしまった。
水で洗ったのだがこれが異常に滲みるので、
ちょっと涙目になってしまったが、涙を零すことだけはどうにか堪えた。
「瑠奈はおっちょこちょいだよなあ」
クラスの男子である覚(さとる)が近寄ってきて、おもむろに大きなバンソウコウを差し出してきた。
「母ちゃんが持ってろって言うからさ。
俺はイヤなんだけど、持っていかないとうるさくってさ。余ってるからお前にやるよ」
「え? う、うん。ありがとう」
瑠奈は素直に受け取って足につける。痛みが引いたわけでもないのに心が軽くなった。
「大丈夫か?」
「うん。本当にありがとう!」
「じゃあ、続きやろうぜ!」
走り出す友人たちに交じってはしゃぎながら、瑠奈は覚に対し心の中で感謝した。
了
須永瑠奈は自分ではそうは思わないが、周囲からお転婆だと言われている。
確かに木に登ることや外で遊ぶことは大好きだ。
それで怪我をしてしまうことも確かに良くある。
今日も男子と女子入り交じって缶蹴りをした際、缶を蹴り損ねて膝を大いに擦りむいてしまった。
水で洗ったのだがこれが異常に滲みるので、
ちょっと涙目になってしまったが、涙を零すことだけはどうにか堪えた。
「瑠奈はおっちょこちょいだよなあ」
クラスの男子である覚(さとる)が近寄ってきて、おもむろに大きなバンソウコウを差し出してきた。
「母ちゃんが持ってろって言うからさ。
俺はイヤなんだけど、持っていかないとうるさくってさ。余ってるからお前にやるよ」
「え? う、うん。ありがとう」
瑠奈は素直に受け取って足につける。痛みが引いたわけでもないのに心が軽くなった。
「大丈夫か?」
「うん。本当にありがとう!」
「じゃあ、続きやろうぜ!」
走り出す友人たちに交じってはしゃぎながら、瑠奈は覚に対し心の中で感謝した。
了
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