21.ヨーグルト<須永瑠奈(すながるな)>
written by 朝川 椛
幼い頃、瑠奈の住む地域には移動スーパーがやって来てくれていた。
トラックで音楽を流しながらやって来るそのスーパーを、
瑠奈は一日千秋の思いで待っていた。
幼い頃、瑠奈の住む地域には移動スーパーがやって来てくれていた。
トラックで音楽を流しながらやって来るそのスーパーを、
瑠奈は一日千秋の思いで待っていた。
理由はそこに待ち望んでいた品物があったから。
週に1回、野菜やフルーツのみならず、肉や魚、乳製品まで売ってくれている。
その中に、瑠奈が心待ちにしていたヨーグルトがあった。
他のどこにもない水色のどこかレトロなパッケージのそれを見ると、
いつも心底幸せな気持ちになれた。
「瑠奈はそのヨーグルトが本当に好きねぇ」
スプーンで掬って白い塊を口の中に入れその甘酸っぱさを堪能していると、
祖母の園子が目を細めてきた。
「だって美味しいんだもん!」
「ヨーグルトなんて他にもあるでしょう?」
「ううん。これがいいの!」
他のではダメだ。
どんなに美味しいヨーグルトがあったのだとしても、
このヨーグルトは自分にとって特別なもの。
「また次の火曜日が楽しみだなあ!」
カップの底まで浚うようにしながら、瑠奈は来週に思いを馳せるのだった。
了
週に1回、野菜やフルーツのみならず、肉や魚、乳製品まで売ってくれている。
その中に、瑠奈が心待ちにしていたヨーグルトがあった。
他のどこにもない水色のどこかレトロなパッケージのそれを見ると、
いつも心底幸せな気持ちになれた。
「瑠奈はそのヨーグルトが本当に好きねぇ」
スプーンで掬って白い塊を口の中に入れその甘酸っぱさを堪能していると、
祖母の園子が目を細めてきた。
「だって美味しいんだもん!」
「ヨーグルトなんて他にもあるでしょう?」
「ううん。これがいいの!」
他のではダメだ。
どんなに美味しいヨーグルトがあったのだとしても、
このヨーグルトは自分にとって特別なもの。
「また次の火曜日が楽しみだなあ!」
カップの底まで浚うようにしながら、瑠奈は来週に思いを馳せるのだった。
了
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