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22 お土産 (想田荊芥)

written by 高木一
 
(今日はいい絵が描けたなぁ)

 荊芥(けいがい)は画材を腕に担ぎながら、ほくほくした気分で家路を歩く。もう片方の腕には、出かける際に首に巻いていた手ぬぐいを風呂敷代わりにして持っている。

(麻紘、喜んでくれるかなぁ)

 手ぬぐいの中には絵を描くときに見つけた蝉の幼虫の抜け殻がたくさん入っていた。以前娘から、漢方で蝉の抜け殻を使うと聞き覚えていたのだ。芍薬や川(せん)キュウといった草花だったら庭で育てることも可能だが、こういったものは中々手に入らない。今の季節ならば取りに行けばいいが、季節外れだとそれもままならないだろう。

(買うにしてもぼくの稼ぎは少ないからなぁ……)

 その分、菊花を始めとした他の親族やふみの夫、稲村未四郎たちが何かと援助してくれている。彼らには感謝してしもたりないくらいだ。

(はぁ、麻紘もいい子に育っているし、ぼくは果報者だなぁ)

 あまり父親らしいことはできていないが、それでも娘のことは大切に思っている。荊芥は自分のダメ差加減に落ち込みそうになったが、土産を渡したときの娘の喜ぶ顔を想像してそれを払拭するのだった。

〈了〉

 この話は「23 屋上(想田麻紘)」 とリンクしています。

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