22.お土産<綾木涼(あやぎりょう)>
written by 朝川 椛
甥っ子で中学生の和彦が繭玉の阿闍梨餅を持って泊まりに来た。
甥っ子で中学生の和彦が繭玉の阿闍梨餅を持って泊まりに来た。
「一昨日まで修学旅行だったんだ」
なるほど、と京都土産のそれを有難く受け取り、茶の用意を始める。
後ろ手に、甥の声が響く。
「本当は麩まんじゅう買って来たかったんだけどさ。1日空いちゃうから諦めたんだ」
「そうか。ありがとう。これ好物なんだよ」
「マジ? よかった! 紺野にお礼言っておくよ」
嬉しげな声に、涼は煎茶を湯呑みに注ぎながら首を傾げる。
「友達か? 初めて聞く名前だな」
「ただのクラスメイトだよ」
ぶっきらぼうなその声音に、涼は悟った。
「なんだ。女子か」
「なんだよ。悪いかよ」
「悪くないさ。さ、食べようか」
湯呑みを和彦の前に置き、阿闍梨餅も添える。
「本当に彼女とかじゃないんだからな」
念を押してくる和彦を前に、ああ、と納得してみせてから、手を合わせる。
「いただきます」
不満げな甥っ子の顔にくすりとしながら、涼は阿闍梨餅を頬張るのだった。
了
なるほど、と京都土産のそれを有難く受け取り、茶の用意を始める。
後ろ手に、甥の声が響く。
「本当は麩まんじゅう買って来たかったんだけどさ。1日空いちゃうから諦めたんだ」
「そうか。ありがとう。これ好物なんだよ」
「マジ? よかった! 紺野にお礼言っておくよ」
嬉しげな声に、涼は煎茶を湯呑みに注ぎながら首を傾げる。
「友達か? 初めて聞く名前だな」
「ただのクラスメイトだよ」
ぶっきらぼうなその声音に、涼は悟った。
「なんだ。女子か」
「なんだよ。悪いかよ」
「悪くないさ。さ、食べようか」
湯呑みを和彦の前に置き、阿闍梨餅も添える。
「本当に彼女とかじゃないんだからな」
念を押してくる和彦を前に、ああ、と納得してみせてから、手を合わせる。
「いただきます」
不満げな甥っ子の顔にくすりとしながら、涼は阿闍梨餅を頬張るのだった。
了
スポンサーサイト