24 廃墟 (八巻アカネ)
written by 高木一
アカネは想田家の敷地内で隠れられる場所を探していた。ハトコの麻紘(まひろ)が100を数えきる前に見つけなくてはならない。目ぼしいところは、先ほどまでに隠れてしまった。同じとろこをそう何度も使うことはできない。
アカネは小走りで周囲を散策する。
「ここは?」
たどり着いた先は、長屋門の近くではあるが垣根で外からは見えにくくなっている古びた建物だった。ずいぶん前から使われていないのだろう。土壁はところどころ剥がれかけていたり、板張りになっている部分は片側が外れている始末だ。
「ここだったら麻紘だって見つけられっこないわ!」
アカネは鼻息を荒く、隠れられそうなところを探し始めた。だが、朽ちてはいるが隠れられそうな場所は見つからない。
母屋の方から麻紘の「もういいかい」という声が聞こえてくる。仕方ない。垣根もあるし、見つからないよう建物の陰に隠れることにしよう。
「もういいわよぉー!」
アカネは麻紘に届くよう、大きな声を張り上げた。
〈了〉
アカネは想田家の敷地内で隠れられる場所を探していた。ハトコの麻紘(まひろ)が100を数えきる前に見つけなくてはならない。目ぼしいところは、先ほどまでに隠れてしまった。同じとろこをそう何度も使うことはできない。
アカネは小走りで周囲を散策する。
「ここは?」
たどり着いた先は、長屋門の近くではあるが垣根で外からは見えにくくなっている古びた建物だった。ずいぶん前から使われていないのだろう。土壁はところどころ剥がれかけていたり、板張りになっている部分は片側が外れている始末だ。
「ここだったら麻紘だって見つけられっこないわ!」
アカネは鼻息を荒く、隠れられそうなところを探し始めた。だが、朽ちてはいるが隠れられそうな場所は見つからない。
母屋の方から麻紘の「もういいかい」という声が聞こえてくる。仕方ない。垣根もあるし、見つからないよう建物の陰に隠れることにしよう。
「もういいわよぉー!」
アカネは麻紘に届くよう、大きな声を張り上げた。
〈了〉
スポンサーサイト