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24.廃墟<須永園子(すながそのこ)>

written by 朝川 椛

 自分たちが住む屋敷はまるで廃墟のようだと園子はいつも思う。
庭木が朽ちているわけでもないし、屋内に雨漏りがするわけでもない。
だが、言うなれば雰囲気が、廃墟そのものなのである。

 古い。
だけでなく、空虚。
 なのに歴史ばかりが重くのしかかって来る。
須永家はそんな空気に満ち満ちている。

「なら、現代調に変えちゃったら?」

 などと孫の瑠奈は軽口を叩くが、そういうわけにもいかない。
いかないことを知っていて、孫も言っているのだろう。

「あなたの代でどうにかしたらいいんですよ」
「何それー」

 ぶすくれる瑠奈を尻目に、園子は自分はこの家と共に朽ちていくのだろう、
と徒然(つれづれ)に思うのだった。


                                              了
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テーマ : 小説
ジャンル : 小説・文学

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