27.ウィルス<綾木和彦(あやぎかずひこ)>
written by 朝川 椛
「肩が痛いんだよなぁ」
和彦は叔父の涼の前で呟いた。
「肩が痛いんだよなぁ」
和彦は叔父の涼の前で呟いた。
「肩痛いって、お前まだ小学生だろうが」
「でも痛いものは痛いんだもん」
「んー……」
叔父が心配げな顔をして、おでこに手を当ててきた。
「お前、熱あるじゃないか」
「んーそういえばダルいかも。なんか気持ち悪いし」
「だるいって! とにかく病院行くぞ」
涼に手首を捕まれ、和彦は立ち上がる。
立った途端、くらくらと目眩がした。
頭が、痛い。
和彦は涼に抱き上げられ、車に乗せられる。
早々に病院へ連れて行かれ、診断がくだされた。
「インフルエンザです」
「はい」
薬を貰って、迎えに来た両親に抱えられて外へ出た。
涼はついては来なかった。
何やら難しい顔をして父と話していたのだが、
とにかく節々が痛くて会話に割って入ることができなかった。
「ねえ、お母さん。叔父さんは悪くないんだよ?」
告げると、母がぎゅっと眉間に皺を寄せた。
「悪くなくても、責任はあるの」
わかったら口を閉じて、と言われ、和彦は項垂れた。
「……はい……」
しかたなく首肯したが、和彦は言いようのない寂しさと悲しさに襲われたのだった。
了
「でも痛いものは痛いんだもん」
「んー……」
叔父が心配げな顔をして、おでこに手を当ててきた。
「お前、熱あるじゃないか」
「んーそういえばダルいかも。なんか気持ち悪いし」
「だるいって! とにかく病院行くぞ」
涼に手首を捕まれ、和彦は立ち上がる。
立った途端、くらくらと目眩がした。
頭が、痛い。
和彦は涼に抱き上げられ、車に乗せられる。
早々に病院へ連れて行かれ、診断がくだされた。
「インフルエンザです」
「はい」
薬を貰って、迎えに来た両親に抱えられて外へ出た。
涼はついては来なかった。
何やら難しい顔をして父と話していたのだが、
とにかく節々が痛くて会話に割って入ることができなかった。
「ねえ、お母さん。叔父さんは悪くないんだよ?」
告げると、母がぎゅっと眉間に皺を寄せた。
「悪くなくても、責任はあるの」
わかったら口を閉じて、と言われ、和彦は項垂れた。
「……はい……」
しかたなく首肯したが、和彦は言いようのない寂しさと悲しさに襲われたのだった。
了
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