35.牛乳 <須永瑠奈(すながるな)>
written by 朝川 椛
「お母さん、なんで牛乳飲まないの?」
「お母さん、なんで牛乳飲まないの?」
朝、母のためにと思い先回りしてわざわざコップに注いだ牛乳。
だが、一向に手をつけない母の由江を見て、瑠奈は尋ねた。
「私、牛乳って苦手なのよ」
「えー! せっかく淹れたのにー!」
「ごめんね、瑠奈」
眉を八の字にして謝る母を前に、瑠奈は吐息する。
「なんで嫌いなの?」
「味は好きなのよ、私だって。でもお腹が緩くなっちゃうのよね」
「あー……。それじゃあ、しょうがないね」
瑠奈は母の分の牛乳を手に取る。
「じゃあ、私が貰うね」
宣言して一気に飲み干す。
冷たくてもったりした液体を流し込むと、すっきりとした気分になった。
「あなたは全然平気なのねえ」
「うん。甘くって美味しいよ」
この甘みがなんともたまらないのだ。
この美味しさを堪能できない母はかわいそうだな、と思いつつ、
瑠奈はランドセルを背負い学校へと向かうのだった。
了
だが、一向に手をつけない母の由江を見て、瑠奈は尋ねた。
「私、牛乳って苦手なのよ」
「えー! せっかく淹れたのにー!」
「ごめんね、瑠奈」
眉を八の字にして謝る母を前に、瑠奈は吐息する。
「なんで嫌いなの?」
「味は好きなのよ、私だって。でもお腹が緩くなっちゃうのよね」
「あー……。それじゃあ、しょうがないね」
瑠奈は母の分の牛乳を手に取る。
「じゃあ、私が貰うね」
宣言して一気に飲み干す。
冷たくてもったりした液体を流し込むと、すっきりとした気分になった。
「あなたは全然平気なのねえ」
「うん。甘くって美味しいよ」
この甘みがなんともたまらないのだ。
この美味しさを堪能できない母はかわいそうだな、と思いつつ、
瑠奈はランドセルを背負い学校へと向かうのだった。
了
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